私たちは普段、薬を服用することはありますが、
服用した薬が体内ではどんな働きをしているのか・どこで溶けてどう吸収されて薬効を発揮するのか、普段考えた事なんてないですよね!
しかし、登録販売者は医薬品の専門知識を有する者。
試験でも薬の基本は問われるので、きちんと覚えておきたいところです。
そこで今回は、
体内への吸収経路
薬の剤形
などについて基本を覚えていきましょう!
医薬品の働く仕組み
医薬品の働きには、
- 全身作用:医薬品の有効成分が消化管などから吸収され、体内を循環する血液中(循環血液)に入り全身をめぐること
※循環血液中に移行することが不可欠! - 局所作用:体の特定の場所で薬効を発揮すること
の2つがあります。
❶全身作用では、薬効を発揮するまでは吸収→代謝→分布と過程があるので、少し時間がかかります。(内服薬に多い)
❷局所作用では、患部に直接医薬品を使用するので、比較的速やかに効果が表れます。(外用に多い)
医薬品には内服薬と外用薬があり、
- 内服薬:口から服用して胃で溶けて消化管(主に小腸)で吸収(消化管吸収)される医薬品
・固形剤:錠剤・カプセル剤など
・徐放性製剤:作用を持続させるためにゆっくりと溶け出すもの
・腸溶性製剤:腸で溶けるもの などもある - 外用薬:体の特定の部位から吸収(粘膜吸収や皮膚吸収)される医薬品
・坐薬:直腸粘膜
・咀嚼剤:口腔粘膜
・点眼:目の粘膜
・点鼻薬:鼻腔粘膜
・含嗽薬:咽頭粘膜
・塗布薬・貼付薬:皮膚から浸透 など
のことを言います。
この為、内服薬には全身作用のものが多く、外用薬には局所作用のものが多くなっています。
内服薬でも局所作用を・外用薬でも全身作用を目的としたものもあります。
医薬品が体内へ吸収される経路
では、この医薬品達は、体内へ入ってからどのような経路を辿って吸収されていくのか、頭でイメージできるようにしておくようにしましょう!
薬の体内での動きは、大きく、
- 吸収:消化管吸収(粘膜吸収・経皮吸収)
- 代謝(解毒):物質が体内で化学的に変化すること
(代謝を受けた成分→不活性化・代謝活性化・排泄されやすくなる) - 分布:有効成分が血液によって器官や組織へ運ばれる
- 排泄:成分が未変化体のまま、または代謝物として体外へ排出されること
となり、以下の様な経路を辿ります。
消化管吸収の経路
内服薬は口から入ると、多くの場合、まず胃で溶けだします。
その後、
- 消化管(主に小腸)で吸収
- 毛細血管から門脈へ入り肝臓で代謝
- 循環血液中へ移行し、心臓を通って全身へ分布し薬効を発揮
- 腎臓でろ過され、体外へ排泄
という流れで全身を巡ります。
胃![]() | ❶小腸![]() | 門脈 | ❷肝臓![]() | ❸循環血液![]() | 腎臓![]() | ❹排泄![]() |
有効成分 溶出 | 吸収 | 経由 | 代謝 (肝初回 通過効果) | 薬効を発現 | ろ過 | 尿中 など |
成分のほとんどは尿中へ排出されますが、一部、乳汁・汗・息・唾液・涙などでも排出されます。
ここで、特に覚えておきたいのは有効成分の吸収・代謝について。
- 消化管からの吸収は、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していき、消化管が積極的に取り込むのではないこと
- 吸収されてから血液循環に移行するまでには、まず肝臓で酵素により有効成分が代謝されるため、循環血液中の成分は消化管で吸収された量よりも少なくなること(肝初回通過効果)
- 循環血液中移行後の成分の代謝の仕組み
内服以外の粘膜・経皮吸収の経路
坐剤・経皮吸収剤は、粘膜・皮膚から吸収されます。
しかし、坐剤や経皮吸収剤には全身作用を目的としたものもあり、その場合の体内での経路は以下となります。
【例】※痔に用いる坐剤⇒局所作用
※熱さましに用いる坐剤⇒全身作用
- 粘膜・皮膚(適用部位)で吸収
- 循環血液中へ移行し、心臓を通って全身へ分布し薬効を発揮
- 腎臓でろ過され、体外へ排泄
という流れで全身を巡ります。
❶粘膜 ・皮膚 ![]() | 小腸![]() | 門脈 | 肝臓![]() | ❷循環血液![]() | 腎臓![]() | ❸排泄![]() |
有効成分 吸収 | ⇒肝臓で代謝を受けない⇒ ショートカット! | 薬効を発現 | ろ過 | 尿中 など |
内服以外の方法で成分が吸収され、循環血液中に入り全身作用をもたらす医薬品は、最初に肝臓で代謝を受けない!
薬の剤形と特徴
剤形とは、医薬品の形状のことです。
剤形は、使用目的と医薬品の性状に合わせて決められ、全身作用と局所作用により2つに大別されます。
医薬品の作用 | 剤形 |
全身作用 | 錠剤・カプセル・散剤・顆粒剤・シロップ など |
局所作用 | クリーム・軟膏・貼付・スプレー・外用液剤 など |
それぞれどんな特徴がある剤型なのか、以下で確認しておきましょう♪
❶全身を巡り薬効をもたらす剤形(内服など)
消化管で吸収された有効成分が全身を巡り、薬効をもたらす剤形は以下です。
錠剤(内服)
錠剤は、一般的な薬のイメージとして強いと思います。
錠剤は薬を飛散させずに、苦味や刺激性を感じることなく服用することが出来る剤形です。
そのまま飲み込むと、のどや食道に貼り付いてしまう恐れがある為、適量の水やぬるま湯で服用することが必要です。
噛み砕いての服用はしませんが、腸溶錠などの腸内で溶けることを目的としている錠剤では、胃で溶けないように表面をコーティングしているので、絶対にかみ砕いて服用してはいけないものあります。
また、高齢者や乳幼児には飲み込みにくいことがあります。
口腔用錠剤

口腔内崩壊錠
口腔内崩壊錠は名前の通り、唾液で簡単に溶けて水なしで服用できる剤形のこと。
飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児でも飲み込みやすい錠剤です。
トローチ・ドロップ剤
トローチやドロップは、口の中で舐めて徐々に溶かしていく剤形のこと。
これは、噛み砕いたり飲み込んだりしては使用しません。
チュアブル剤
チュアブル剤は、口の中で舐めたりかみ砕いたりして服用できる剤形のこと。
これも水なしで服用できます。
カプセル剤
カプセル剤は、カプセルの中に散剤や顆粒剤充填した剤形のこと。
固形剤なので、錠剤と特徴はほぼ同じです。
注意が必要なのは、カプセルの原料として用いられているゼラチンはブタなどの蛋白質なので、アレルギーを持つ人には使用を避ける必要があります。
こちらも、そのまま服用するとゼラチンが喉や食道に貼り付く危険性があるので、適量の水やぬるま湯と一緒に服用します。
散剤・顆粒剤
散剤は医薬品を粉末状にしたもので、顆粒剤は小さな粒状にしたものです。
粒の大きさとしては、散剤<顆粒剤となります。
錠剤を飲み込むのが困難な方には服用しやすい剤形ですが、錠剤と違って苦味を感じやすいといった点もあります。
顆粒剤は表面がコーティングされている場合があるので、噛み砕かず、水と一緒に服用します。
経口液剤・シロップ剤
経口液剤やシロップ剤は液状の内服薬で、固形剤よりも飲みやすく、有効成分が液中に溶けたり分散しているため、服用後は比較的早く消化管から吸収されます。
循環血液中の血中濃度が上昇しやすいので、習慣性・依存性がある成分などが配合されている医薬品では、不適品使用がされることがあるため、薬局などでは販売する際に注意が必要です。
シロップ剤などは粘りがある為、容器に残りやすいことから、残った部分は水ですすいですすぎ液ごと飲むなどの工夫をすることがいいでしょう。
❷特定の部位に直接適用する剤形(外用)
医薬品の有効成分を患部局所に直接適用する剤形は以下です。
軟膏・クリーム剤
軟膏やクリーム剤は、有効成分が局所に留まりやすいという特徴があります。
軟膏剤は水にで洗い落ちにくく、使用感は重くベタベタしています。
適用部位を水から遮断したい場合に最適です。
クリーム剤は水で洗い落としやすく、使用感はしっとりしていて伸びがいいです。
患部を乾燥から防ぎたい場合にも用います。
外用液剤
外用液剤は、液状の剤形の中で、外用として使用する剤形です。
軟膏や液剤に比べて乾きやすいという特徴があります。
病院で処方されるものでわかりやすいのは、ヒルロイドローションなど。
液状なので伸びがよく、夏場などに処方されることがあります。
貼付剤
貼付剤は、湿布など、皮膚に張り付けて使用するテープ剤やパップ剤があります。
適用部位への薬効の持続が期待出来ますが、かぶれを起こす場合もあります。
スプレー剤
有効成分を霧状にして吹き付ける剤形です。
手で塗り広げにくい部分や広範囲にわたる患部へ適しています。
薬が働く仕組みと剤形のまとめ
今回は、薬が働く仕組みと剤形をまとめてみました!
私のように文章が苦手な方は、表にして直観的に覚えて、あとは重要部分を押さえるようにすると、頭の中で理解しやすくなります。
肝臓は、栄養分や医薬品の有効成分を代謝する非常に重要な役割があるので、抜かりなく学習してしっかり押さえておきましょう。
試験だけではなく、医薬品の基礎知識なので、しっかり理解しておきたいですね♪
出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」
をもとに登録販売者.Link作成


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